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『教育機関の劇空間 日本大学芸術学部 中ホール』 [劇場]

テクニックス
『 教育機関の劇空間 日本大学芸術学部 中ホール 』

この記事は、日本照明家協会雑誌2010年10月号・№.484に掲載したものです。
※ 一部図面などは、割愛いたしました。
※ 本誌ご希望の方は、日本照明家協会までご連絡下さい。
 一部・1250円   http://www.ldeaj.or.jp/

公益社団法人 日本照明家協会 〒169-0073 東京都新宿区百人町 1-23-26 ミナミビル
℡ 03-3363-7680  fax 03-3363-7890

         
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                             写真:劇場入口

 現在、大学・短期大学・専門学校・高校などで劇場・ホールを所有している教育機関があります。それらには、京都造形芸術大学『春秋座』、東京芸術大学『奏楽堂』、大阪芸術大学『芸術劇場』、桜美林大学『プルヌスホール』、明治大学『アカデミーホール』、徳島文理大学『むらさきホール』、昭和音楽大学『テアトロジーリオショウワ』、東北大学『東北大学百周年記念会館 川内萩ホール』、尚美ミュージックカレッジ専門学校『尚美バリオホール』、武蔵野音楽大学『ベートーヴェンホール』、大阪府立東住吉高校『実習棟』、埼玉県立春日部高校『音楽ホール』などで、それぞれが特徴のある空間を生かし創造・発表の場として利用されています。

今回紹介する劇場は、日本大学芸術学部江古田キャンパス整備事業の一環として全面改築が進めらていた『芸術学部(演劇学科)中ホール』です。
前劇場『中講堂』は昭和40年代前半に建設され40年数余年、演劇学科の中心的な教育施設として照明実習や舞台総合実習などに活用され、演劇や舞踊など多くの舞台作品が発信されてきました。また、この舞台から巣立ち業界で活躍している俳優や舞踊家・照明家・美術家・演出家・劇作家など少なくありません。
この度、平成22年3月芸術学部・北棟(演劇学科)の建物が完成し棟内には、演劇ホール(中ホール・小ホール)大道具制作場・実習室・楽屋・研究室などがあります。
 4月18日、中ホールの開場式・こけら落しとして『三番叟』が催されました。
新しいキャンパスは、街と一体化のオープンキャンパスで芸術総合学部として生まれ変わり、最新設備を備えた劇場は芸術の発信基地として豊かな芸術創造を目指してゆく場となる事でしょう。

『日本大学芸術学部中ホール』         
建設の基本方針
先述したように、キャンパス整備事業の一環で建物の老朽化に伴い建設され、その基本方針は、舞台芸術を専門とする教育機関の設備としての機能を生かした、豊かな感性を養うための活動の実践を前提としています。また小規模な講演会や学会発表、演劇学科の実習発表などの拠点として整備されました。 
 当学科は昭和25年、学科が創設されて間もなく、遠山静雄師を迎えて舞台照明(舞台美術を含む)の講座をはじめて開講しました。その後、昭和43年学則改正に伴いコース制度を導入して以降、近代演劇を中心とした「照明教育」に重点を置いてきました。
 舞台照明コースの教育理念は『舞台照明の構成と表現について基本的訓練を通じて学び、そのための基礎理念・方法論・技術・電気工学・照明デザイン、機器の操作方法などを身につけ、実習によって実践的に創作していきます』をモットーとしています。
 演劇学科には、舞台照明コースの他に劇作・演出・演技・装置・日舞・洋舞・企画制作のコース(全8コース)があります。各コースが参加して創作過程を学ぶ舞台総合実習(演劇・日舞・洋舞などの発表公演を行う)があります。その実習(表現方法と技術)を通じて実践活動を体験させていきます。日常的に舞台創造活動が展開できること、これが大きな骨格になっています。

施設の概要
『中ホール』は、一般劇場に劣らない舞台空間で音響・照明・舞台機構などの設備機能を充実させいます。芸術・文化活動の施設として様々なジャンルに対応出来る多目的ホール(演劇と舞踊が主目的)で、且つ学生が使用するコンセプトに添った安全性や機能性を重視した、使い勝手の良い空間です。
舞台は、プロセニアム形式でインナープロセニアムにより間口幅及び開口高さを可変することが可能です。間口10.8m(6間)~ 15.6m(8.6間)建端4.5m(2.5間))~7.2m(4間)奥行12.6m(7間)
吊物機構は、手引きを中心とした手動及び電動のカウンターウエイト方式を採用しています。
手動:美術バトン×16、一文字幕×4本、袖幕×3本、引割幕×2本、大黒幕×1、ホリゾント幕×1             
電動:昇降プロセニアム×1、緞帳×1、暗転幕×1、ライトバトン×4本、
アッパーホリゾントライト×1、美術バトン×5本
客席は電動のみ:プロセニアムライト×1、スピーカーバトン×2、客席バトン×3本
吊物機構には、音響反射板と映写スクリーンを排除したことにより、各バトンの間隔がゆとりのある配列になっています。
 舞台床は、釘打ちが可能です。照明用床回路はローアーホリゾント回路を除き可搬型調光装置を使用することで上手・下手の床回路を排除しました。但し、コード収納のピットはありません。
 舞台上手奥にダムウエーター(小型リフト)が設置されていて、可搬型調光装置や照明機材をギャラリーに運搬するのに役立っています。

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                   写真:ダムウエーター

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                      写真:可搬型調光装置

 客席はワンスロープ形式で収容人数249席と少なく、大きめの座席で集中して観劇できるコンパクトな空間(長方形平面)です。コンパクトな空間は、隅々まで役者の声が行き届き臨場感を醸し出す劇場となっています。

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                          写真:舞台より客席を眺める

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 写真:客席上手後方より見た舞台

調光装置
大学紛争以降の中講堂に設備された調光装置は、3kw・30本・3段プリセット・強電パッチ方式でした。老朽化につれて調光カーブが乱れユニット調整をした記憶が残っています。昭和57年、システム改修及び一部回路増設の工事が行われ電子クロスコネクション位相制御方式・4kw・60本・6段プリセットに改修されました。その後、DMX512がに支流になったことにより、教育面を考慮して既存ユニットとインターフェイス(DMX変換)使用によるコンピュータ調光操作卓・パオリスⅡを導入し、劇場閉鎖(今春)まで使用してきました。
今回の中ホール照明調光装置は、各種の演出意図やプラン要求に応じた制御操作ができます。
システム概要
調光システムは、調光回路として演出用調光回路:2kW×208回路(2kW×188回路+LHのみ3kW×20回路)と客席用調光回路:2kW×20回路及び直回路からなる強電系と、それらを制御する弱電系により構成されています。
操作系は、80本×3段プリセットによる手動再生方式とコンピュータ制御によるメモリー再生方式の併用操作機能を有する調光操作卓の他、舞台袖操作器で構成されています。

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                              写真:調光操作卓

定 格
電源方式 3相4線 105v/182v 50Hz 360kVA
接続機器:照明主幹装置 総主幹
     単相3線 105v/210v 50Hz 45kVA
接続機器:持込機器用電源装置 照明主幹
     3相3線 200v 50Hz 40kVA
接続機器:持込機器用電源装置 動力主幹 
調光方式 位相制御方式
操作方式 弱電操作による手動/メモリー再生操作
対象負荷 照明電源:白熱灯
     動力電源:3相モータ
構成機器
調光装置・調光装置主幹装置・照明分岐装置
調光操作卓(80本×3段プリセット、メモリータイプ)LICSTAR-IV Type J
プリセットフェーダ  80本×3段
グランドマスターフェーダ 1式
サブマスタフェーダ 20本×20ページ×6バンク、タッチスイッチ付き
タイムウイール     1組
GO STOP REV    1組
フリーフェーダ     10本
メモリーシーン      1000シーン
ムーブ クロスフェーダ  1組
パッチ操作部       1式
外部記憶装置(MO FDD)1式
客席調光操作部      1式
 時間設定スイッチ    1式
 上限・下限設定フェーダ×各1組
 フェーダ       ×10本(フリーフェーダと切替)

DMXパッチ装置
舞台袖操作器
持込卓用コネクタボックス
可搬型調光器(20A×12回路)AL-CBDS2-10212-1   8台
可搬型調光器(20A×3回路)AL-TUIPR-10203-2   10台
負荷装置
プセニアムサスペンションライト×1 
2kW×24回路 直6kW×2回路 直1.5kW×1回路 LAN×1 DMX-OUT×2
サシペンションライト×4列(1SL~4SL)
2kW×24回路 直6kW×2回路 直1.5kW×1回路 LAN×1 DMX-OUT×2
アッパーホリゾントライト
2kW×24回路
シーリング
2kW×24回路  直1.5kW×1回路 LAN×1 DMX-OUT×1
フロントサイド(上手・下手)
2kW×5回路 直1.5kW×1回路 LAN×1 DMX-OUT×2
その他:ギャラリー・直などを含む負荷回路は282回路です。

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                         写真:照明設備・サスペンションライト


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                      写真:下手フロントサイド
 
照明操作卓及び音響操作卓は、客席後方に設けられベストな状態で劇空間を確認することが出来ます。照明合わせや、音合わせ、舞台稽古などにおいてオペレーター(学生)に対して指導教員が直接指示出来るように教育的配慮がなされています。

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                              写真:ロビー

付記
紙面の都合上、小ホールを紹介することが出来ませんでした。
小ホールは、ブラックボックスでオープンステージ形式。照明設備(バトン)は、昇降式格子型トラスになっています。

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