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スタッフへの道 ~舞台監督を志す人へ~ [舞台監督]

スタッフへの道
     ~ 舞台監督を志す人へ~
                                       千 早 正 美
 「舞台監督」とは、近代演劇の創造活動に欠かす事のできない専門部署といえます。
「舞台監督」という名称が実践活動において初めて表示されたのは、明治42年4月東京俳優養成所(主幹・藤沢浅二郎)の第一回試演会から大正12年の震災前までであり、現在の演出者を意味していました。震災後、大正13年「築地小劇場」創立によって演出・装置・照明・効果の職域とともに、「舞台監督」の機能が確立され現在に及んでいます。
 演出家が創り上げた作品を演出者の意図に則して、完全な演劇として舞台上で進行させる責任者が「舞台監督」です。したがって、上演準備における「舞台監督」の仕事は、プロデューサーと共に稽古や制作日程を決めることから始まります。稽古が開始されると、読み合わせ、本読み、立ち稽古に必ず立合い、演出者の仕事がやりやすいように気を配り、また舞台装置・照明・効果・小道具などの各スタッフと綿密な連絡を取り、舞台稽古の日までには全ての調達物や制作が手落ちなく整うように配慮しなければなりません。「舞台監督」は、舞台稽古そして公演初日から楽日までの最後の幕が降りきるまで、舞台上及び舞台裏の一切の統括責任者でなければなりません。
 千田是也は「演劇とは何か」(至文堂)で「舞台監督」について次のように述べています。
 『演出を助けて、上演準備の実務的方面の調整や進行の責任を負うと同時に、初日が開いてからは演出者に代って舞台の進行を監督するのが、「舞台監督」の仕事である。』と。
その意味で「舞台監督」は、実践的な進行責任者であると同時に、舞台芸術の生命を育む芸術家でなければならないといえます。
 さて今日、「舞台監督」の仕事は、上演芸術の種類によってジャンル別になっています。大別すると、演劇・舞踊(日舞・洋舞)音楽(オペラ・クラッシックコンサート)・イベント系など多種です。
 舞台監督になるためには、劇場に関する専門用語や劇場機構などの知識などが必要とされます。また、音響・照明などスタッフの役割や仕事内容などにおいても深く理解していなければなりません。勉強の方法は、自分がどのような舞台(ジャンル)で仕事を行いたいのかを良く考え、自分にあった機関を選択することでしょう。演劇養成所・劇団演出部・専門学校・芸術系大学などで専門的に学ぶ方法があります。最近では少なくなりましたが、知人や先輩の繋がりなどで弟子になりアシスタントとなって現場に従事し、創造的な事や進行の在り方についてなどを学び併せて技術を身につけることです。もう一つには、舞台監督の集団(会社など)に入ることも良いでしょう。とにかく、年齢や学歴に関係のない実力の世界です。舞台が好きである事と同時に集中力が要求される仕事なので体力があることが肝要です。
 「舞台監督」の仕事は、非常に奥深い仕事です。努力と忍耐、一人前になるには容易ではありません。
 上演芸術の内容によって、空間設定や大道具の有無・劇場形式や設備も異なります。クラッシック・バレエの場合、全幕上演か抜粋上演か或いは小品集上演かによって、大道具の仕込みなども変わってきます。自分が携わる上演芸術の内容を理解いていなければ「舞台監督」は務まりません。「白鳥の湖」・「くるみ割り人形」・「眠れる森の美女」などそれぞれ作品の梗概や構成・音楽がどのようになっているか熟知していなければなりません。クラッシック・バレエにはきまった構成と形式があります。「白鳥の湖」第二幕の白鳥たちの場面では、①白鳥たちの踊り(コール・ド・バレエ)②オデットと王子のパ・ド・ドゥ(ダンスール・ノーブルとプリマ・バレリーナ)③四羽の白鳥の踊り(ソリスト)④三羽の白鳥(ソリスト)⑤オデットのソロ(プリマ・バレリーナ)⑥白鳥たちの踊り(コール・ド・バレエ)⑦コーダー(全員)というように絡み合いながら踊ってゆくわけです。このように、上演芸術のジャンルによって具体的に仕事内容が異なります。自分の道をよく見極めて下さい。
 舞台監督の働きは、事務的面と芸術の創造面とうい両面から成り立ち、演劇についての幅広くまた深い理解の上に成り立っているといえます。与えられた時間の中で綿密な計画を立て、迅速に処理することは大変難しいことであり、多くの経験を重ねなければならないがまず自分の責任において努力、積極的に処理するという心構えがなによりも必要です。

    本文は、演劇総合雑誌「テアトロ」2003年4月号 No.734 に掲載されたものです。


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